映画「何者」レビューの中で物議を醸しているのがこの「オチ」について。
予告ではあれだけ「大どんでんがえし!」なんて言っているからにはみなさん期待が膨らむのでしょう。
それがあのオチの内容。
「大どんでん返しってあれ?」「思ったより普通なオチだな」という声が出てしまっているのは仕方ないと思います。
ただこのオチ、小説で読んだ時は本当にびっくりしました。
まさに2回読みたくなる小説。
ここからは少しネタバレを含んでいますので、読み進める際にはご注意ください。
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この小説は最後の拓人のオチが無くても充分完成できる内容でした。
それぞれのキャラクターの出し方、痛々しいほどのリアルな心情、行動、それらが就活という儀式に沿って、それはそれは丁寧に描かれていました。
皆が「これは私のこと?」と思ってしまうぐらいの心理描写は書けそうと思っていても絶対に書けません。それが朝井リョウのすごさです。
でも朝井リョウはそれだけじゃなかった。
今の時代に溢れてる小説はそれを読んで「わかるわかる」と共感をもらえるだけで特にオチが無くても作品として成り立っています。
だからこそ、このオチを付けてきたことには本当に驚きました。
みんなの中で拓人だけ就職留年して2回目の就活中ということ(話の流れで伏線はたくさんあり、多くの方は気づいたと思いますが)、Twitterの裏アカウントで誰にも明かさなかった本音をつぶやいていること、かっこ悪い自分をすべて理香に見られていたこと。
小説を読んでいる時は、「これだけ完成度が高い内容なのに、まだこんな楽しみを用意してくれているのか」と感動しました。
良い意味で期待を裏切ってくれたおかげで、きっとこの作品は直木賞まで取ることになったのでしょう。
そういった小説の流れがあるので、小説から入った映画関係者は「大どんでん返し!」と伝えたくなる。
しかしそれを映画のプロモーションのメインに持って行ってしまうと、観客の期待する「衝撃」期待値がどんどん高くなってしまいます。
特に、小説では文章力・心理描写である程度内容が完成できるのに対して、映画でこの心理戦を100%伝えるのは難しかったのだと思います。
そこがオチに対しての「がっかり」を作りだしてきた大きな要因なのではないでしょうか。

これと正反対にプロモーションが成功したのが「君の名は」ですね。

公開当時の予告を見る限りでは
「男女が入れ替わるよくある恋愛もの 」
としか普通の人は理解できなかったと思います。
それがあの驚きのオチとドラマチックな展開ということが口コミで広がり、良い意味で期待を裏切った結果感動につながり、評価の高さにつながったのだと思います。
「この予告じゃこの映画の良さは伝わらない!」なんて意見をたくさん聞きました。(予告編作成した方すみません。。)

どちらも映画業界トップの東宝が手がけてる作品なので、宣伝の仕方にそこまで差はでなさそうなのですが、対極的な結果になってしまっていますね。
期待させないと見てもらえないですが、させすぎてもダメということ。
小説と映画の違い、プロモーションの方法次第で評価が大きく変わってしまうことがわかるいい例だと考えます。